冬のブドウ栽培
カナリア諸島は赤道に近いため、年間を通して暖かい気候です。
しかしここ数年、気候変動の影響で、夏は35℃を超えることも珍しくなく、その影響でブドウの光合成が止まってしまい、成熟が不均一になったり、2週間ほどで糖度が上がってしまい、酸が落ち始めてしまうため、フェノール分の熟成が十分でなくても収穫せざるを得ない状況に悩まされてきました。
イベリア半島のワイナリーは、標高の高い畑を探すこともできますが、ランサロテ島ではそれができません。
そこで、カナリア諸島で最も古い歴史のあるワイナリー、エル・グリフォでは、10月に剪定し、3月~4月に収穫することを2021-2022年から試み、見事に成功しています。冬の間、熟成はゆっくりと均一に、非常に順調に進みました。年間降水量が200ml以下という非常に乾燥した地域なので、ブドウ樹のまわりの防風壁にたまった露すら大切な水源ですが、冬期に成長期を迎えることによって、雨の恩恵も受けやすくなります。収穫されたブドウの糖度はやや低めの12%程度で、酸はより高く、理想的でした。
これはヨーロッパ初の試みです。
この経験は南イタリアやギリシャ、イベリア半島の夏の高温に悩まされている地域の解決策になるかもしれないと期待されています。