ガリア
ビオディナミ農法の第一人者として知られ、ピングスの栽培管理者、キンタ・サルドニアの醸造責任者としても国内外で高く評価されるジェローム・ボウナウド。2009年に始めた彼の独自ブランドが「ガリア」です。経験と直感で、土の様子を探り、風の匂いを嗅ぎ、ブドウの様子を眺めて、選んだ畑はドゥエロ川に沿って134kmにもわたる場所に点々と存在しています。彼曰く、醸造家の仕事は医者のようなもので、必要なときだけ、正しく対応すれば良いものだそうです。だからこそ、時間の許す限り畑にいたいと語ります。土壌とミクロクリマを理解し、そこからできるブドウのキャラクターを知り、最終的にアサンブラージュすることで、複雑で奥行きのあるワインを作ることができます。
ピーター・シセックとは、ジェロームが23才のときから一緒に働き、同じ方向を目指していたので、彼からはとても大切なことを学び、インスピレーションを得たそうです。
リベラ・デル・ドゥエロの原産地呼称を名乗らないので、さまざまな制約から自由。ジェロームのワイン作りに関する哲学は3つ。「バランス」「純粋さ」「ミネラル」
アロマはフレッシュかつ複雑。味わいは滑らかでたっぷりと、それでいて、ふわりと重心の高い赤ワインです。自然な素晴らしい酸があって、最後まで飽きさせません。抜栓後、数週間経っても、そのポテンシャルは落ちないまま楽しめます。
ソリア県、ブルゴス県、バリャドリッド県とさまざまな地域から、ジェロームが納得して選んだ畑で、フィロキセラ害にあっていない自根の100年を超える高樹齢のブドウ。すべてビオディナミ農法で栽培されています。
標高は800メートルから900メートル。ほとんどが北向きの冷涼な畑で、オーナーが年をとり、跡継ぎもいなくて、放置されていたところをジェロームが再生したもの。
どの木を見ても、それぞれのブドウの房が離れていて、バランス良く熟しているのがわかります。古樹がつけるブドウはもともと少なめですが、それでも春から夏にかけて、房同士が近すぎないように調整していきます。
リベラ・デル・ドゥエロでは評価が高くないガルナチャですが、ジェロームは非常に可能性を感じています。素晴らしいガルナチャを将来に残すため、穂木をとって、新しい畑を作っています。青い針金は、穂木をとれるブドウであることの印。
古い畑は、ガルナチャやテンプラニーリョといった黒ブドウだけでなく、アルビーリョという白ブドウも混植されています。ガリアは、白ブドウが10%ほどアサンブラージュされていることも大きな特徴です。この日、一番の驚きだったのが、収穫後、ぽつぽつとブドウが収穫されずに残っている木があったこと。ジェロームに聞くと、ボバルは粗い味なので好きでないし、このブドウは品種がわからないから入れない、という答え。収穫担当のチームも品種の違いがわかっており、ジェロームの考えが伝わっていて素晴らしい。ふと見ると、収穫した箱に葉っぱが混じっているということもありませんでした。非常に丁寧な収穫作業です。
ワイナリーにブドウを運んだら、選別テーブルにかけます。この時点で、房全体をはじかれるブドウは滅多になく、一房、一房、傷んでいる粒やあまりに未熟な粒がないか、丁寧に見ていきます。選別作業としては、非常に時間をかけたゆっくりしたペースです。
次に、念には念を入れて一粒ごとにチェック。一次発酵用の、500kg入るプラスティック槽に入れます。
プラスティック槽の下部には全房が入っています。茎が少し色づき、より完熟度が増したものを全房のまま発酵させます。ちなみにガリアに使うブドウは、完熟の一歩手前、ただし未熟ではない程度の微妙なところで収穫します。ジェロームの説明によると「青臭くなく、しかし、植物の感じが残ってるとき。」だそうです。
開放槽での一次発酵。ブドウがフタ代わりになり、その下に発酵中に出る二酸化炭素が充満するので、過度に酸化することはありません。
毎日、糖や粘度、温度などの主要パラメーターをチェックし、記録していきます。
発酵中に浮かんでくる果皮と果汁を混ぜ合わせるのは足踏みで優しく。
ルモンタージュも、なるべくブドウに負担をかけないようにタンク下部からワインを注入します。
プラスティック、ステンレスタンク、大樽、セメントタンクと、それぞれの畑で採れるブドウのキャラクターを生かして、発酵や熟成方法を変えていきます。この細かさが、ガリアの得も言えない奥深さとめくるめく艶やかさにつながります。
Galia Rosado 2016は、600リットルのフレンチオーク樽にて発酵。バックビンテージは、酸素と全く触れないステンレスタンクで醸したせいで、還元気味に出来上がってしまったので、それを避けるべく、樽で作ってみるそうです。
ガリアのラベルは、5千年以上前のエジプト壁画や彫刻にも描かれているスパニッシュ・グレイハウンド。「ガリア」という名前の由来は、ローマ時代のケルト人居住地域のラテン語で、ほぼフランスの領域にあたります。近代にはフランスの雅称として使われ、現代ギリシア語の「ガリア」はフランスを指します。ジェロームはフランス人ですので、自分が生まれ育った国に敬意を込めて、ガリアという名前をつけたそうです。
ワインアドボケイトの評価
Galia 2012 95点
This is a most impressive, elegant, aromatic, mineral and balanced wine. What a steal!
Galia 2013 94+点
This is again extremely fresh, floral, almost citric, open, exuberant, elegant and harmonious with no traces of oak whatsoever. This is an awesome value.
Galia Rosado 2014 91点
The palate feels more like a white wine, sharp and mineral, intense with acidity and tension; it has a superb palate. It might sound weird, but this wine needs time in bottle and should develop nicely in bottle. I tasted the 2013 again and it was showing superbly, completely clean, focused and open, unlike when I tasted it last year.
類い希に良いロゼだと思います。
輸入元:スコルニワイン
http://www.sukoruniwine.com/