スペインワイン BUDO YA

スペインにあるワイン専門店BUDO YAです。ワイナリー観光、クオリティワインのご紹介、ワイン関連の通訳・翻訳などを承っております。

ワイナリー訪問 D.O.カスティーリャ・イ・レオン

2016/10/19

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大学で醸造を学ばなかったからこそ、自由な発想でワインを作ることができると語るアルフレド・マエストロ。1998年に両親の家にブドウを植えるところから始め、本と、知り合いの醸造家や栽培農家とのやりとりの中で、ワイン作りを学び、現在では各々の生産量は少ないながらも16銘柄を作り、国際的なマーケットもつかんでいる実力派です。

あちこちに散らばった古樹の畑にいち早く目をつけ、決して全て手入れが行き届いているとは言いがたいながらも、それぞれの個性を生かして、この地域では誰よりも先に、冷涼感のあるフレッシュなワインを作り始め、短いスパンで、さまざまな銘柄を生み出し続けるスピード感。スペイン各地、世界各国から研修生を受け容れたり、複数の他プロジェクトにも参加したりする、エネルギッシュな活動。

醸造家や栽培農家と密接なコンタクトをとりながらも、ワインから一歩離れたところからの視点を持っているのが、アルフレド・マエストロの強さだなと感じました。

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標高900メートルを超える高地にあり、樹齢120年を超えるブドウ。車道からかなり奥に入っていて、荒れ地を抜けて行かなくてはいけないので、そこまで行くのに一苦労しますが、こんなところで生き残ってくれていてありがとうと感謝したくなるようなブドウたち。馬を使って耕します。

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リベラ・デル・ドゥエロの認定地域からわずかに外れるため、大手のワイナリーに買収されることもなく、機械が入らないため、植え替えられることもなく、生き延びることができた古樹のブドウ。

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リベラ・デル・ドゥエロ近郊のテンプラニーリョは、もともと手のひらに収まるほど小さかったそうです。

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古樹は根が張っているので、若いブドウよりも気候の変化に対応しやすく、今年の水不足もあまり影響がなかったそうです。ブドウは自ら学び、古樹には智恵が備わっているという表現をします。

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昔ながらの畑には、白ブドウのアルビージョや、黒ブドウのテンプラニーリョ、ガルナチャ、ボバルなど、いろいろな品種が混植されています。

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別の地域の畑。異なる土壌のブドウを所有しているので、さまざまな銘柄を作ることが出来ます。

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収穫はすべて手摘み。

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言われなければ、ワイナリーだとすら気がつかないガレージ。

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プラスティック槽での発酵。

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ステンレスタンクでの発酵。それぞれにワイン名や畑、収穫日などが書かれた説明の札がかかっています。

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室内に入りきれない分は、中庭に。

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村で採れるブドウを使い、リフォームしたローマ式の醸造施設でワインを作って販売し、村に残る100ヶ所以上の17世紀の伝統的な地下セラーを少しずつリフォームしていこうというプロジェクトの醸造責任者でもあります。昔ながらの栗の樽で発酵中です。他にも、アフリカに井戸を掘るプロジェクトに参加していたりと、非常にアクティブ。

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天日干しするための網は、ブドウの酸で1年でぼろぼろになります。

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アルフレド・マエストロのお父さんが修理中。

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一次発酵中のワインのパラメーターを測っているところ。

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ふと気がつくと、どう見ても、下のプラスティック層が発酵中に出るガスで膨らんでいます。

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破裂する前に、少しずつゆっくりフタを開けたのですが、やはり勢いよく漏れてしまいました。

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良い機会とばかりに別のプラスティック槽に移し替えて、澱引きをします。

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最終的な判断は、アルフレド・マエストロが下しますが、細かいところは「自分で考えてみて」と若い醸造家たちに任せているようでした。オーストラリアからの研修生は、樹齢120年という古樹やローマ式醸造施設など、自分の国にはないものに身近に触れられて興奮すると話していました。

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いろんな銘柄が一緒に並んで、樽熟成をしていました。
混沌としながらも、勢いに満ちあふれるワイナリーでした。


-ワイナリー訪問, D.O.カスティーリャ・イ・レオン