赤ワインと産幕酵母
2016/07/25
DOティエラ・デ・レオンの中で最も古いプリエト・ピクドの畑を所有するBodegas Margon。標高900メートル、強い北風に耐えるよう、地面に這わすような仕立てです。
醸造責任者を勤めるのは、ラウル・ペレス氏。
Bodegas Margonでは、収穫から一次発酵まで亜硫酸を一切加えません。また僅かずつ蒸発する分のワインを随時追加しないため、樽上部に隙間ができ、酸素とワインがふれあい、産幕酵母(フロール)が発生します。ラウル・ペレス氏は、この産幕酵母をワインを保護し、味わいに複雑味を与えるとして、除去しません。
ただし、産幕酵母に酢酸エチルが発生すると、マニキュアの除光液のような異臭が発生したり、最悪はワイン中のエタノールと反応してワインを酢に変えてしまいますので、常に厳密なチェックが必要です。酢酸エチルが発生したときは香りが変わるので判断できるそうですが、色鉛筆の濃淡のように、その香りは同じ系統のものなので、判別には高い技術力を要します。ラウル・ペレス氏だからこそできるワイン作りです。