ガリア 2015
2016/07/26
ビオディナミ農法では、スペイン随一という呼び声の高いジェローム・ボウナウド氏自身のワイナリー「ガリア」の収穫に行って来ました。ジェロームは、かのピングスの栽培責任者や、キンタ・サルドニアの醸造責任者を20代前半から任せられている実力者。ピーター・シセック氏も、彼あってこそのピングスと絶大な信頼をおきます。
前日に収穫したブドウが置かれています。夜は5℃ほどに下がるので、ほどよく冷えています。大きな家の中庭にあたるところなので、四方が建物に囲まれており、日中もそれほど気温が上がりません。
まずは房の選別。テンプラニーリョだけでなく、ガルナチャや白ブドウのアルビージョもブレンドされているのがガリアの特徴です。寒かった2013年ビンテージの出来を気に入ったので、種が茶色く固く熟すのを待たず、ブドウの甘さと皮の感じを見て良しとし、心持ち早摘みにしてみたそうです。とはいえ、わたしが食べてみたブドウは甘く、種もしっかり茶色かったです。
除梗。機械類は、マドリッドのエル・レガハル社のものを使っています。
4人がかりで粒ごとの剪定。
全房を15%、桶の下部に入れます。ときどきドライアイスを入れて、急激な発酵を抑えます。
全房で入れるブドウは、完熟したもの。茎が赤っぽい黄色なのが目印。完熟葡萄を選ぶのは、彼女の仕事です。
さらにドライアイスを入れて、急激な発酵を抑えます。プラスティックで蓋をして、過度な酸化を防ぎます。
一杯になったら次の桶に取り替えます。
昨日仕込んだブドウ。上部だけで発酵が始まっていますが、下部はまだ発酵が始まっておらず、いわばマセレーションの状態。ワイナリーを引っ越して初めてのワイン作りなので、ワイナリーに酵母がいないため、先週発酵が始まったガリアのロゼワインを少しだけかけて発酵を促します。そうすることで、いつまでも発酵が始まらずにブドウが傷んだり、過剰な酸化をしたりすることが防げます。下部は、ぴっちりブドウで蓋をされている状態なので、酸素がいかないため、腐敗の心配はありません。
ガリアでは、始めは、手で表面のブドウを裏返すような作業をし、発酵が本格的に始まったら、手で押さえて軽く破砕します。過度な抽出を避けるために、ルモンタージュは一日一回程度。
プラスティック桶の他にも、ステンレスタンクでも一部を発酵させます。(写真には写っていませんが)卵形のセメントタンクや、四角いセメントタンク、アンフォラ(ロゼワイン用)など、いろんな醸造施設を使い、複雑味を出します。
伝統的な手作業で全てが行われます。清潔第一。
発酵桶の中で、自然に流れ落ちたブドウジュース。甘いだけでなくて、程よい酸味と、茎からの青みと、わずかなタンニンとが歌っているような大きな流れを感じます。艶やか。ジェローム曰く、「それがワインのエネルギー」なんだそうです。