テーラス・ガウダ
もうひとつの、お勧めしたいアルバリーニョの生産者、テーラス・ガウダです。ポンテベドラ県の最南西、ポルトガルとの国境近くで、大西洋とミーニョ川に囲まれたサブゾーン、O Rosalに位置します。リアス・バイシャスの中では、最も降雨量が少なく、日照時間の長い地域です。協同組合を除く、自社生産としては、リアス・バイシャス最大のワイナリーです。
ガリシアとしてはめずらしい垣根仕立てにこだわります。170haの自社畑は全て垣根仕立て。凝縮したブドウが採れます。スレートや石英も含まれますが、花崗岩が中心の貧しい土壌で、酸性度は低め。このワイナリーの一番の特徴は、アルバリーニョを70%以上使いますが、同時にカイーニョ・ブランコとロウレイロという固有品種もブレンドするところです。
もうひとつの大きな特徴は、マセレーション専用機械(写真上部)で、しっかりと発酵前のスキンコンタクトをさせることです。
1993年にリアス・バイシャスで一番最初に、アルバリーニョの樽発酵、熟成ワイン(Terras Gauda Etiqueta Negra)を作りました。
天然酵母の中から、より優れたモノを選別して、乾燥酵母にして追加使用しています。より良いブドウ樹のクローンを植えて増やす技術もリアス・バイシャスではパイオニア。写真左の小さなタンクは、区画ごと、品種ごとのデータ分析用です。写真右は、ステンレス発酵タンク。
現在は使用していないそうですが、蒸留施設もありました。
このワイナリーを代表する銘柄です。ファーストビンテージは1990年。アルバリーニョの爽やかさ、カイーニョ・ブランコの酸、ロウレイロのアロマのバランスが抜群で、糖度の高いブドウから作るボディの厚みもほど良いです。マセレーションがしっかり効いているのが、アルバリーニョとしては濃い色からもわかります。
マロラクティック発酵はせず、収穫翌年の初めには新しいビンテージがリリースされます。
1992年にリリースされたアルバリーニョ100%のAbadía de San Campio。柔らかなテーラス・ガウダと違って、切れ味の鋭い酸のしっかりしたタイプ。2011年にリリースされたLa marは、固有品種カイーニョ・ブランコ中心のワイン。ガリシアの中に存在するカイーニョ・ブランコの95%が、テーラス・ガウダが持っています。