ボデガス・ベロンドラーデ・イ・ルルトン
2015/02/20
バリャドリッド県ラ・セカ村のベロンドラーデ・ルルトンに行ってきました。1994年にナバ・デル・レイ村で、フランス人であるディディエ・ベロンドラーデさんが興したワイナリーです。2000年にD.O.ルエダの拠点ともいえるラ・セカ村に現在のワイナリーを建設しました。
ベルデホ100%にこだわった、白ワインの銘柄は2種類。ワイナリーと同じ名前を持つ、トップキュベのベロンドラーデ・イ・ルルトンは、300リットルのフレンチオークで発酵、熟成されます。ベルデホの樽熟成ワインは、スペインではベロンドラーデ社が最初に作りました。年間生産本数は、8万本から9万本。ステンレスタンク発酵のキンタ・アポロニアは、3万6千本から4万2千本作られます。もうひとつ、キンタ・クラリサというテンプラニーリョから作るロゼワインがあります。
新ビンテージのキンタ・アポロニアは、デザインは同じで、オレンジ色のラベルに変わるそうです。
ワイナリーの目印は、イメージカラーのオレンジ色。
左がステンレスタンクや、ボトル詰め機械、オフィスがある建物で、右の建物に樽が置いてあります。
30ヘクタールの自社畑を、19の区画にわけて管理しています。平均樹齢が30年ほどのブドウは、ベロンドラーデ・イ・ルルトンに、8年ほどのブドウはキンタ・アポロニアになります。畑の標高は、750メートルほどで、年間平均降水量は300~350mmで、長く寒い冬と、短く暑い夏の極端な差がある、大陸性気候です。昼夜の気温差も大きいです。
D.O.ルエダの中ではトップクラスのワイナリーですが、生産量は少なく、設備も想像以上にコンパクトでした。各区画ごとにブドウを発酵させるため、2万5千リットルのステンレスタンクが8機ほどありました。奥に見えるのは、水平プレス機です。茶色く見える袋に入った二酸化炭素をプレス機に注入し、酸化を防ぎます。
ほとんど300リットルのフレンチオークを使っています。熟成が終わり、ワインが完成に近づいた頃、全ての樽を1樽ごと試飲していき、アロマ、味わい、ボディ、酸などなど、それぞれの特徴ごとに、10程度のカテゴリーに分類します。それをどの割合でブレンドするのかを決め、最終的にステンレスタンクでアサンブラージュします。この分類作業に、少なくとも1ヶ月はかけるそうです。
周囲はフレンチオークで、蓋の部分にアカシアの板を使った樽での熟成も、良い結果が出ているそうです。ちなみに焼き印にもなっている、ワイナリーのシンボルマークは雄鶏です。オーナーのディディエさんが、30年ほど前、スペインに農場を買ったとき、どこの農家も自分の家畜に焼き印をするためのマークを持っていることがうらやましくて、自分でデッサンしたのがこのマークだそうです。
卵形のセメントタンク。さらに上級のキュベを作るために、セメントタンクでの発酵も試しているそうです。
一人の女性が、手作業でボトルを拭いて、ラベル張り機にセットしていました。
左から、醸造家のマルタ・バケリソさん、新入社員のクリスティーナさん、オーナーのディディエ・ベロンドラーデさん。
ディディエさんに、なぜこの地を選んだのかを質問してみました。すると、何より第一にスペインが好きだから、という答えが返ってきました。そしてこの地域のベルデホに高い可能性を見いだしたからだそうです。ルエダ地方にはベルデホに次いで多い、ソーヴィニヨン・ブランについては、フランスの海沿い地域には素晴らしいソーヴィニヨン・ブランのワインがあり、それはとても繊細でエレガントなもの。大西洋気候の内陸では、無骨なソーヴィニヨン・ブランしか育たないから、決して自分の畑には植えないのだそうです。
ブドウの栽培は、自社畑だからこそ出来る、徹底した管理。低収穫量に抑えて、高い品質のブドウを育て、収穫時の選別も徹底しています。気温が上がらない朝のうちに収穫し、そのままマセレーション。ブドウの温度はそれほど上がらないので、冷蔵庫に入れる必要も、温度コントロールする必要もなく、自然に任せた発酵だそうです。もちろん野生酵母のみを使用しています。
土地やブドウに寄り添うような姿勢は、美味しいワイン作りに共通しているように思います。