スペインワイン BUDO YA

スペインにあるワイン専門店BUDO YAです。ワイナリー観光、クオリティワインのご紹介、ワイン関連の通訳・翻訳などを承っております。

ワイナリー訪問 D.O.リベラ・デル・ドゥエロ

ボデガス・プロトス

2013/01/29

リベラといえばこのワイナリーかもしれません。とても親しみやすいワインです。

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ワイナリーの住所が、ワイナリーの名前です。地元に深く根付いていることがよくわかります。

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見学客向けの門。以前はリベラ・ドゥエロと名乗っていましたが、原産地呼称委員会ができたとき「リベラ・デル・ドゥエロ」という名前になったので、ワイナリーはプロトスという名前を公的なものにしました。ちなみにギリシア語で一番という意味です。この地域で一番古いワイナリー(最初は協同組合)です。

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現在、ワイン博物館になっているペニャフィエル城の真下にあります。

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リチャード・ロジャーズ氏設計による新ワイナリー。2008年からワインの製造が始まりました。地下道で旧ワイナリーとつながっています。現在は、ブルゴス県のアンギス村のワイナリーを買い取り、300万キロの葡萄を処理する能力があります。

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プロトスの空気穴。

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何度か書いているとおり、ワイナリー見学を中心とした観光をさかんにしようとしています。ご興味のある方は是非ご覧ください。http://www.rutadelvinoriberadelduero.es/

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プロトスの門のところに生えていた立派な葡萄。テンプラニージョかしら??

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少し時間があったので近くを散歩していると、いくつもワイナリーの空気穴がありました。こういう、ほぼ個人経営のところで掘り出し物的素晴らしいワインがあるかといえば、採算無視で美味しいものを追求しているならば別ですが、普通はとても難しいと思います。全行程における品質管理だけでも相当なコストがかかりますし、今回の見学でなぜプロトスがここまで大きくなり、安定した高品質のワインを作り続けられるのか、理由が分かったからです。

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一般向けの販売コーナー。開店を待って買いに来ている人が何人もいました。

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見学開始。まずはプロトスの簡単な紹介ビデオを見ます。日本語版はこちら。http://www.youtube.com/watch?v=kA8zjdQsOrs&feature=youtube_gdata_player

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伝統的な地下熟成貯蔵庫に入ります。全長2Km。自然と湿度80%から85%、気温15℃に保たれています。

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1927年に11のワイン農家が組み合いとしてプロトスを立ち上げました。当初から高品質のワインにこだわっており、そのおかげで1929年のバルセロナ万博で大賞をとり、その名声がリベラ・デル・ドゥエロの名前とともに世界中に広まりました。現在は2000人以上の会員がいます。

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機械が入るスペースはないので、すべて手作業で行われます。樽は3段だけ重ねられます。壁はセメントで補強されていますが、匂いが樽にうつらないようにエポキシで全て埋められています。

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15世紀からあった空気穴。上の煙突部分までは60メートルあります。

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新しく作られた空気穴。上には扇風機がついていて、効率よく換気できるようになっています。

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樽もワイナリー内も薬品は使わず、圧力をかけたお湯だけで掃除します。樽の上にのっている棒の先に火をつけ、空樽に入れ、蓋をすることで殺菌します。

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一時発酵用のステンレスタンク。ここまで巨大なものはあまり見たことがありません。

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洞窟みたいな地下貯蔵庫から広いスペースに出てきました。ここの樽は金属の棚に乗っていて、葡萄液の充填など機械で作業を行います。フレンチオークとアメリカンオークは半々で使われており、4年で新樽に替えます。フレンチオークは長期熟成用、アメリカンオークは早飲みタイプの熟成に使われます。フレンチオークは樹齢200年のものを手で伐採するため、1樽600ユーロ。アメリカンオークは機械で伐採するため、1樽300ユーロだそうです。ルーマニア製の樽も試してみたそうですが、実用化には至らなかったそうです。

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地下道が新ワイナリーに続いています。新ワイナリーも地下に貯蔵庫があるので、湿度や気温は伝統的なものと変わりません。樽熟成のときにほとんどの販売先が決まっていて、名前が書いてありました。

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少し変わった形のこの樽の中では熟成ではなく、マロラクティック発酵を行っています。全てフレンチオークの新樽です。銘柄は、フィンカ・エル・グラホ・ビエホ。樹齢70年以上の古木からだけ作るプロトス最高級の銘柄です。

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会社の会議やパーティなどに使えるスペース。

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ボトル置き場。すごい量で、圧巻。一つ一つのコンテナに日付、発送先などなど詳しいことがメモしてありました。

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階段を上って試飲ルームに行きました。そこから見た風景。箱詰めされている量も半端ないですね。

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収穫された葡萄は1箱20kgずつ運ばれ、一粒づつ人手によってテーブルの上で選別されます。

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26℃以上にならないよう、冷たい水でコントロールされながら、3~4回上下をかき混ぜながら、1週間ほどアルコール発酵を行います。

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試飲ルーム。グラスにもプロトスの名前が全部入っていて、テンプラニージョ用の大ぶりなグラス。薄くて口当たりも良かったです。下の方にワインを注ぐ目安のラインが入っていて、帰りにおみやげとして貰いました。

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最初はベルデホ100%の白ワイン。最初に葡萄の香りがきゅんとして、グラスをゆするとパイナップルなど南国フルーツの香りが出てきました。味わい深くて美味しかったです。さすがプロトス。白も危なげありません。

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白のボトル。白はフレッシュなタイプと樽熟成タイプがあります。

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次は赤のクリアンサ。同じグラスですが、クリアンサを少し注いでくれて、それでグラスを洗います。濃厚ではありませんがとても良い香りがしました。そして一口飲んだら、15年前のなつかしい気持ちになりました。風景とか音楽だけじゃなくて、味わいでもいろんなことを思い出すものですね。まさにわたしのワイン人生の原点の味わいです

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ワインやおみやげ販売コーナー。ワイナリーの説明も技術的なことまでしっかりしていたし、伝統的な地下貯蔵庫は見応えがあったし、なによりここまで広いのに蜘蛛の巣ひとつない、とても清潔な空間に驚きました。説明してくれたプリミさんもとても親切ではきはきとしたプロフェッショナルでした。「全行程で最高を目指す」と公言し、87カ国に輸出しているワイナリーの底力を感じました。


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