我が家の周りものどかですが、この村も広々としていますね。醸造所のすぐ脇の葡萄畑。左側が2年目のテンプラニージョ。右側が5年目のテンプラニージョです。針金を使わず、地面から一本ずつを自由な方向に育てる「バソ」という育て方です。よって、収穫はすべて手摘みとなります。ここも昔からの畑は様々な種類の葡萄がひとつの畑に混ざって植えられているので、収穫のときに上手い具合に種類が混ざっていたと言っていました。現在、特にテンプラニージョは単一種で育てられています。
スペインは中心となる町と町、村と村の間を道路でつながっている以外、周囲に何も建物がありません。このへんは葡萄畑か松林か、何もない荒れ地が広がるのみ。
今日の目的地、セサル・プリンシペです。10年以上前、懇意にしていた市内のワイン専門店に「シガレスといえばロゼだけど、ここの赤は別格で美味しいよ。」紹介してもらいました。
入り口を入ってすぐのところがステンレスタンク置き場。その前にボトル詰めの機械があり、2人の若者が手を休めることなく働いていました。
熟成樽。フレンチオークが80%、アメリカンオークが20%です。わりと小さめのワイナリーです。毎年、半分を新樽に替えます。
二回に試飲ルームがありました。
試飲ルームから出ると、ステンレスタンクの上部に出ます。
上から覗いた様子。ワイナリー入り口のすぐ横に検査をする機器が揃い、葡萄選別テーブル、茎や葉などを分ける機械が見えます。
この中に選別された葡萄が入れられます。ロゼワインは圧搾機を使いますが、赤ワインは葡萄の自然な重さで原液を採ります。
白や、15リットルの箱入りワインなども作っていますが、主な銘柄は、クラレテ・デ・ルナ。この辺では伝統的にロゼワインのことを「クラレテ」と呼びます。本来、ボルドー地方の赤ワインを指す言葉なので、厳密にいうと違うものなのですが、この伝統を残すためにあえて「クラレテ」という言葉をワインの名前につけたそうです。そして、13 カンタロス・ニコラス。8ヶ月樽熟成したテンプラニージョ100%の赤ワインです。1カンタロは16リットル。葡萄の収穫が悪かったときに13カンタロをニコラスさんという人に貸したときの印が古いワイナリーに残っていて、それをラベルのデザインに使ったそうです。そして真ん中がセサル・プリンシペ。現在の社長のお父さんの名前。なんと、プリンシペ・ドゥケ(直訳すると王子様・公爵)という名字なんだそうです。高貴ですね。
セサル・プリンシペは、Guía Peñín 2012版でも 93ポイントをとりました。14ヶ月樽熟成したテンプラニージョ100%の赤ワインです。樹齢60年から75年の古木から採れる糖度の高い、凝縮した葡萄を丁寧に熟成して作ります。とても美味しいワインなのですが、価格もリベラ・デル・ドゥエロの有名ワインと同じかそれ以上。美味しくて、お手軽な価格で、比較的品質が安定していて、というワインはなかなか探すのが難しいです。
-ワイナリー訪問, 赤ワイン, D.O.シガレス