ミゲル・デ・セルバンテス大学 ワイン夏期講座2日め
2014/07/13
ワイン夏期講座の2日めのまとめです。
Grandes Pagos de Españaというグループに加盟している、ラ・マンチャのマルケス・デ・グリニョン社と、バリャドリッドのマウロ社の講義。マルケス・デ・グリニョン社のオーナーである、カルロス・ファルコ氏(写真左)がこのグループの代表を務めます。
現在は、世界的なレベルの赤ワインの吟醸地として知られるリベラ・デル・ドゥエロでも、1980年代はロゼワインが中心でした。そんな中、フランスの進んだ技術や知識を持つ醸造家が現れます。ブドウ樹のクローンに注目し、畑の再構築から挑戦は始まります。
アメリカ合衆国に、リベラ・デル・ドゥエロのワインを初めて持ち込んだのが、ペスケラ社のアレハンドロ・フェルナンデス氏です。そのとき、「まるでシャトー・ペトリュスのワインのようだ」と高評価を得ます。時をおかずに、マウロ社も「シャトー・マルゴーのようなテーブルワイン」と驚きを持って迎えられます。
ベガ・シシリア社で醸造責任者として20数年働いてきたマリアノ・ガルシア氏(写真右)は、リベラ・デル・ドゥエロの認定地域をわずかにはずれるトゥデラ・デ・ドゥエロ村の古い畑を再生させ、マウロ社を作りました。当時、テーブルワインには、ビンテージも使用品種も、ワイナリーの場所すら記載してはいけない決まりで、安ワインのイメージしかなかったので、マウロ社は「原産地呼称に拘らない、素晴らしいワイン」として逆に評判を呼びます。2000年代に入って、原産地呼称の認定を得るための細かい規則を嫌がり、あえて原産地呼称を使わないワイナリーが出てきましたが、マウロ社はその先駆けとも言える存在です。
マリアノ・ガルシア氏によると、原産地呼称は、2、30年前は、ワインの品質、特に衛生状態を守るために最も重要であったのだそうです。
Grandes Pagos de Españaは、原産地に拘らない、特別で独自性のある畑を持つ、意識の高い25社からなるグループです。(Aalto、Abadía Retuerta、Alonso del Yerro、Arínzano、Bodega del Jardín、Calzadilla、Can Ráfols dels Caus、Cérvoles、Dehesa del Carrizal、Dominio de Valdepusa、Enrique Mendoza、Fillaboa、Finca Sandoval、Mustiguillo、Finca Valpiedra、Gramona、Luna Beberide、Manuel Manzaneque、Mas Doix、Mauro、Maurodos、Pago de Vallegarcía、Recaredo、Secastilla、Valdespino) 現在さらにいくつかのワイナリーが加入待ちだそうです。
販売はそれぞれ別で、国外へのプロモーションを一緒に行ったり、知識や経験を共有することが最大の目的です。このグループに加盟していることが品質の保証になる、そういうグループを目指しています。
バリャドリッド県のロゼワインの吟醸地、シガレスの原産地呼称委員会会長、スペインワインテイスティング学校校長、カスティーリャ・イ・レオン醸造家組合会長などによる、ロゼワインについての座談会。
ロゼワインの作り方には大きく分けて3通りの方法があります。
1.マセレーション法(セニエ法) : 黒ブドウを使用し、果汁が適当に着色した時点で、果皮などの固形物を取り除き、果汁のみを発酵させて作ります。 取り除いた果皮で、より濃い赤ワインを作るのに利用することもあります。
2.直接圧搾法 : 白ワイン醸造方法と同様に、黒ブドウを圧搾し、果汁のみを発酵させる方法。
3.混醸法 : 白ワイン醸造方法と同様に、黒ブドウと白ブドウを混ぜて発酵させる方法。
昔のボルドーワインは、混醸法で作られたワインを「クラレット」と呼んでおり、その習慣が今もバリャドリッド県周辺では残っており、ロゼワインを通称として「クラレテ」と呼びます。
赤や白に比べて、1ランク下に見られがちなロゼワインですが、フルーティでさっぱりしたものが多く、まさにビールや清涼飲料水感覚で、気軽に飲めるものとして、もっと需要を伸ばしていきたいという話でした。適当な酸味があって、軽やかな味わいは、どんな食事も邪魔をしないオールマイティなワインです。一般的にボトル詰めしてから、1年以内に飲むのが一番美味しく飲めるそうです。
今回の試飲は、D.O.ルエダの大手ワイナリー、クアトロ・ラヤスのベルデホ。タパスは、昆布をキャラメリゼして船型にし、その中にベリー系のソースがかかったニシンの酢漬けが入っています。ゴマで海を表現しているようですが、あまりに量が多すぎてもったいない感じでした。
マウロ社の系列、マウロドスがD.O.トロで作る、ガルナチャとティンタ・デ・トロ(テンプラニーリョの亜種)。14ヶ月フレンチオークとアメリカンオークで樽熟成させています。トロにありがちな、どっしり重いところはなく、フルーティながらもマイルド。よくまとまっていて飲みやすいワインです。
D.O.ルエダのベルデホのスパークリングワイン。ブドウを食べているような果実味たっぷりの、ボディは厚め。大らかに楽しめるワインだと思いました。