D.O.カスティーリャ・イ・レオン D.O.ティエラ・デ・レオン
Pricum Primeur 2010
2014/05/15
ボデガス・マルゴン、南レオン県の固有品種プリエト・ピクド100%の赤ワインです。プリエト・ピクドは、涙型の粒が特徴的で、皮は厚く、房は小さく、過酷な環境下でも病気になりにくい品種です。北部スペインの標高900メートルを越す畑は、一年間のほとんどを、ピコス・デ・エウロパ山脈から吹く冷たい北風にさらされます。直接、ブドウに北風を受けないよう、伝統的に「ラストラ」と呼ばれる、世界的にもめずらしい、地面にブドウの蔦をはわせるような方法で栽培します。年間を通して気温が低いため、ブドウは非常にゆっくりと成長し、急激に温度の上がる短い夏に一気に熟します。そのため、素晴らしい酸を残したまま、糖度が高いブドウが採れます。小粒で皮が厚いので、タンニンにも恵まれ、長期熟成に向く固有品種として、ホセ・ペニン氏を初め、多くのワイン愛好家やプロフェッショナルが注目しています。
今年、ドイツで開かれた国際ワイン見本市で「最も優秀な醸造家」と評価されたラウル・ペレス氏も、この品種にとても注目しています。世界各地のワイナリーでコンサルタントを勤める売れっ子のラウル・ペレス氏ですが、このボデガス・マルゴンとプリエト・ピクドには特別な思いがあるそうです。何故なら、ボデガス・マルゴンは世界最古樹の100年を超えるプリエト・ピクドの畑を持っているからです。ブドウの栽培にしても、ワインの醸造にしても、「元々自然に備わっている力とキャラクターを生かすためには、人の介入を最小限にしなくてはいけない」という考えのラウル・ペレス氏なので、畑やブドウが持つポテンシャルにはこだわりがあります。
今回飲んだプリクム・プリメウルは、ボデガス・マルゴンの中ではエントリークラスながらも、樹齢60年から100年のプリエト・ピクドを使い、一次発酵からフレンチオークの大樽を使う、贅沢な醸造方法をとっています。 3ヶ月間、フレンチオークで樽熟成しています。 ラウル・ペレス氏は、樽の特徴が表に出るのを嫌いますが、樽を通すことで骨格がきちんとしたワインができることを尊重しています。
つやつやとした透明感のある紫色で、最初から華やかな香りが立つということはありませんが、ゆっくりと熟した赤い果実、ミネラルやスパイス、きのこなどが香ります。しっかりしたタンニンは、ほどよくこなれていて、オークとともにワインの中に柔らかく溶け込んでおり、中重のボディを構成しています。生き生きとした酸は、2010年ものとは思えないほどで、ワイン全体のイメージを爽やかにすっきりとさせ、非常にエレガントな印象を残します。わずかに発泡しています。センスの良い水彩画のような透明感と、鮮やかさ、表現の豊かさ。
ワイン醸造の仕事を、茶葉の選択、温度や抽出時間、いたずらにかきまわさない、ポットの形状や温度など、「美味しいお茶を入れることと同じ」と表現するラウル・ペレス氏の才能を感じさせる1本です。
残念ながら日本には未入荷ですが、BUDO YAからご購入いただけます。
http://www.budoya.jp/index.php?main_page=product_info&cPath=1_32_26&products_id=70