Convento de Las Claras
バリャドリッド県のペニャフィエル城のすぐ麓にある、ホテル・コンベントラス・クララスは、1606年に建てられた修道院をリフォームしたものです。ここで提供されるホテル専用のワインがなかなか良かったので、作り手を訪ねてみました。ここのワインは、ペニャフィエル村から車で10分ほどのクリエル・デ・ドゥエロ村にある、別のワイナリー施設を借りて作られています。
ブドウ品種、日照条件、降雨量が、ワインの品質を決定づける主要素ですが、土壌の組成も味わいにとても影響します。なぜなら、リベラ・デル・ドゥエロを初め、ブドウ栽培に適した栄養素の少ない貧しい土質では、ブドウは地中深くに根を張り、そこから水分やミネラル分を吸収するからです。
3億年前までは、スペインの中心部は、四方を山脈に取り囲まれた大きな湖でした。地殻変動が起き、山脈が分かれ、海に通じる川が出来、岩や土が流されることによって、徐々に現在のリベラ・デル・ドゥエロの地層が築かれていきました。
ここの醸造家は、土壌を非常に重視しています。ごく少ない生産規模のため、2万5千リットルのステンレスタンクに満たない場合が多いにも関わらず、畑別にタンクを分けて一次発酵させ、樽熟成させます。
コンベント・デ・ラス・クララスの4種類の畑の土壌です。
最初の写真は、リベラ・デル・ドゥエロ地域の典型的な石灰質土壌。標高
2番めの写真は、ドゥエロ川沿いのローム質の土壌。川の流れによって運ばれてきた土や岩が滞積して出来ているので、深い部分は石灰分の多い粘土質で、その上に砂。表層は角が取れ丸くなった石や泥に覆われています。黒い果実や甘草など、複雑な香りのワインになります。
3番めの写真は、斜面の、炭酸塩の地層が表面に現れている土壌です。非常に保水性が高い特性を持っています。粘土質か、砂質かによって、育つブドウのキャラクターは異なってきますが、一般的にがっしりした強いワインになります。
4番めの写真は、標高の高い丘を形成する、炭酸塩を多く含む砂利と粘土質の土壌。3億年前の湖の沈殿からなる粘土質で、ミネラル分豊かな、しっとりした味わいのワインになります。
このワイナリーで作っているのは、テンプラニーリョ種100%の赤ワインが2種類と、ロゼワインが1種類。収穫が特別に良かった年だけに作る赤ワインが1種類です。
白いラベルのワインが、Convento de Las Claras Tinto Fino 2012。樽熟成8ヶ月です。リベラ・デル・ドゥエロの特徴的な石灰質を多く含む地層(写真1)で採れるブドウを使っています。強いタンニン分が骨組みを支え、高い糖度と十分な酸が味わいのバランスをとる、典型的なリベラ・デル・ドゥエロのワインの特徴を持つ、トラディショナルなタイプのワイン。
黒いラベルのワインが、Heritage Convento de Las Claras 2011。樽熟成18ヶ月。4種類の異なる土質で採れたブドウをブレンドして作るワインです。後口に、プルーンなどの熟した果実や甘草などのハーブを感じ、より複雑で、広がりのある味わいです。