トロ村から南に少し行くとひまわり畑が広がり、丘の上に教会を中心とした小さな村が見え、絵はがきのような風景です。
この小さい白い看板を見逃さなくて良かった!
ここから舗装されていない道をがたがた10分くらい。道を聞こうにも誰もいない。葡萄畑と松林が延々と続きます。
あともう少しだけ行って見つからなかったら、電話してみよう、と思ったときに見つけました!ワイナリーの名前が書いてある看板がわりの古い樽。
贅沢な感じではありませんが、ここで美味しいワインを作っているんですね。
葡萄畑。バソと呼ばれる植え方で、リベラ・デル・ドゥエロ地方のように針金に枝を這わせず、地面からダイナミックに育てます。この土地はやせていて、深いところまで砂と石がごろごろしていて乾燥しており、糖度の高い葡萄を採るには最適だそうです。
おぉ、もうかなり葡萄が大きくなっていますね。収穫は9月15日から20日くらいを予定しているそうです。
百葉箱と風見鶏。もちろん畑も化学肥料や農薬を使わず、家畜の糞を基本とした肥料、いくつかのハーブティを混ぜ合わせて虫除けにしているそうです。
水源も井戸です。ミネラル分も多く含み、あえて追加するようなものはないそうです。
すべて手積みで収穫された葡萄を選別し、タンクに運ぶ機械。
一次発酵用のステンレスタンク。
ほとんどがテンプラニージョ種ですが、デザートワインには、アルビージョ、マルバシア、モスカテル、パルミノ、ベルデホが使われています。Quinta de la Quietudは、20~24ヶ月の樽熟成の後、一年間ステンレスタンクで落ち着かせ、その後、ボトル詰めされます。
圧搾機。白ワインは最初にこれで絞り、赤ワインは最後にこれで絞ります。
樽熟成室。アメリカンオークとフレンチオーク。若いワインには香りをつけ、すぐに飲んで美味しく感じるようにアメリカンオークを、長期熟成のものには強いボディとより複雑な香りが徐々に生まれるようにフレンチオークを使います。
樽の中のワインが減ったときに追加するための葡萄果汁。この人が醸造責任者のフランソワさんです。ボルドー出身です。
ボトル詰めの様子。いつも思うのですが、収穫の時期をのぞいて、ワイナリーで働いている人というのは実はとても少ない人数です。
ボトル詰めしたワインを保存しているところ。
箱詰めしたもの。喜んでもらえるといいですね。
コラル・デ・カンパナス。若木のテンプラニージョ100%。50%は9ヶ月アメリカンオーク樽熟成、残りの50%はステンレスタンクの中でミクロ・オキシネーションと呼ばれるほんの少し酸素にさらす方法で質を高められた果汁を混ぜ合わせて作ります。薫り高いフルーティな飲んでいて楽しくなるようなワインです。
キンタ・キエトゥ。20年から80年のテンプラニージョ100%。1ヘクタールあたり4000Kg以下の収穫量です。15日から18日かけてマセラシオンを行い、フレンチオーク(30%が新樽)で20ヶ月熟成させ、1年間ステンレスタンクで貯蔵し、2年間ボトル内で熟成させます。力強さとエレガントさを同時に併せ持ち、時とともにますます磨きがかかります。トロのワイン祭りのときに飲んだのですが、バランスが良くて、とても美味しかったのをよく覚えています。
ラ・ムラ・デ・キエトゥ。80年から100年の古木のテンプラニージョ100%。1ヘクタールあたり1000Kg以下の収穫量です。18日から20日かけてマセラシオンを行い、フレンチオークの新樽で24ヶ月熟成させ、1年間ボトル内で熟成させます。他のトロのワインとは全く違う、とても魅力的で力強い、深みとボディのあるワインだそうです。「新しいタイプ」のワインだとフランソワさんは言っていました。
ラ・ドゥルセ・キエトゥ。甘口のデザートワインです。アルビージョ、マリバシア、モスカテル、パロミノ、ベルデホを、約2ヶ月日にさらし、糖度をさらに凝縮させてからゆっくりと果汁を絞り出します。その後、フレンチオークに2年間入れて熟成させます。試飲した人は必ず買っていくという、びっくりするくらい美味しいワインだそうです。この日、一人で運転して行ったので、勧めてもらったのですがワイナリーで試飲はしませんでした。だから冷蔵庫できりっと冷やして、くっと飲んでみるのが今から楽しみです。
作られているのは四種類。オーガニックワインを作るのは難しいですか?と質問してみたら、トロはワイン作りにとても向いている場所で、気候も良いし、害虫も病気も少ないので、特に薬物や工業生産品を加えなくても良いワインが作れるんだよ、と答えてくれました。しかし、簡単に作れると高をくくっているとしっぺ返しをくらうそうで、葡萄の糖度が高いだけに気を抜かず、常に注意を払っていなくてはいけないそうです。急がず、我慢強くワイン作りを進めることが大切だそうです。
-ワイナリー訪問, D.O.トロ