D.O.リベラ・デル・ドゥエロ D.O.リベラ・デル・ドゥエロ
Bodegas y Viñedos Valderiz試飲会
D.O.リベラ・デル・ドゥエロのボデガス・イ・ビニェドス・バルデリスの試飲会に行ってきました。1997年創立の中堅ワイナリーで、日本にも輸入されています。元は数世代にわたって葡萄栽培を手がけてきた歴史あるブドウ栽培農家です。周囲はジャガイモや、砂糖大根ばかり植えられていた中、当初から生態系システムを上手く利用したブドウのオーガニック栽培に拘っていました。「20世紀初頭、祖父の代には誰にも理解してもらえず、奇人扱いされていたけれども、おかげで今現在、素晴らしいブドウの古樹と健康な土地を手にしている。」と語ります。農薬でクタクタになった土地を再生させるには時間と手間がかかりますが、このワイナリーは苦労なく、ワイン作りの最も基本である良い畑を持っているのです。
家族の中心であり、ビオディナミ農法の先駆者として有名なトマス・エステバンが選び抜いた10ヘクタールの畑を1979年に購入して、現在のワイナリーの形に至ります。
ブドウの品質は高く評価されており、長年、ベガ・シシリア、ピングス、ペスケラ、プロトスなど有名ワイナリーにブドウを販売しています。自らのワイナリーには、8年間、テルモ・ロドリゲスを醸造家として迎え、ワインも国内外で評価されていきます。現在は、マウロ社やベガ・シシリア社で活躍した醸造家、イサック・フェルナンデス氏が指揮をとっています。
上が、Valdehermoso Joven。テンプラニーリョ種100%。薄めの紫色で、軽い香り。フルーティで軽やかで、マンゴーやいちごなど軽やかながらも華やかな味わいでした。 下がValdehermoso Roble。樽を通してある分、Jovenよりもう少し甘さと柔らかさが加えられ、飲みやすい味わいになっていますが、軽やかな傾向は同じ。どちらも、糖度やタンニンが凝縮したブドウをあえて軽やかに仕上げてみせる、テルモ・ロドリゲスの得意とするところだなという印象でした。
おつまみは、ひよこ豆の牛モツ煮込みと、馬肉のチョリソ。寒い内陸の冬の伝統的な豆料理は体が温まり、お腹に優しいのに腹持ちも良いです。めずらしい馬肉のチョリソは、一般的な豚のソーセージよりも野性味があり、まったりした濃い味わい。
オレンジ色のラベルが、Valderiz。このワイナリーを代表するワインです。1ヘクタールあたり4キロ以下の収穫量に抑えた、樹齢25年以上のブドウを使用しています。合わせたのは、左が鹿のチョリソで、右がイノシシのチョリソ。 鹿は木の実の甘い味わいがあり、イノシシは獣臭さを消すためかかなり胡椒が効いて辛口。
グレーのラベルが、Tomás Esteban。選別された畑でビオディナミ農法によって栽培されたブドウによるワインです。収穫量は、1ヘクタールあたり1.5キロ以下。 おつまみは、虚勢牛のチョリソ。豚肉より、味わいに奥行きがあり、噛めば噛むほど美味しいという感じ。
バルデリスから感じましたが、前述の2本に比べると、違うワイナリーのもののようにフルボディで、味わいがぐっと厚くなり、後口も圧倒的に長く、広くなります。酸もしっかりとあるので、食事に合わせても問題ないと思います。
ワイナリーの人とワインの味わいに何が影響するかという話をしていて、彼によると、ブドウの樹齢と収穫量が一番影響するということでした。個人的な意見ですが、醸造家の趣向というのが影響が大きいなと感じています。Joven、Robleは、テルモ・ロドリゲスが得意とするところで、醸造期間の長いタイプは、明らかにマウロやベガ・シシリアの伝統を感じる作りでした。
同じ地域の同じ気候で育ったブドウで作る、同じワイナリーのワインが、こんなにも違うという面白さが楽しい試飲会でした。
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バリャドリッドのいくつかのワイン店では、毎週末、面白いテーマでワイン会を開催しています。3~4種類のワインと、それぞれに合わせたおつまみが楽しめてお一人様10ユーロ前後です。作り手が直接話をしてくれます。マドリッドからAVEで1時間。リベラ・デル・ドゥエロやルエダ、トロ、シガレスといったワインどころで、美味しい物もたくさんありますので、1泊予定で是非どうぞ。BUDO YAで、ワイナリー見学、レストランご予約、ワイン会ご予約などを承っております。