ペニンガイド星付きワイン会 その2
スペインワインのガイドブックとしては最も有名なペニンガイド誌主催のコストパフォーマンスに優れている評価されたワイン会のレポートその2です。
D.O.バルデオラスのアデガ・ダ・ピンゲラは、2008年のファーストビンテージから各方面で高い評価を受けています。バルデオラスはローマ時代からワインを作っていた歴史のある地域ですが、山が多い故に規模の小さな畑しか作れず、大量生産できなかったため、長い間、誰も気にもとめてきませんでした。しかし最近、スペイングルメ界が世界的な人気を得るとともに、そのきめ細やかな料理に合うワインとして、ゴデジョやメンシアという、この地域特有の品種が注目され、大陸性気候で粘板岩の土壌が作り出すミネラル感のある爽やかなワインに人気が集まっています。
アデガ・ダ・ピンゲラのオーナー、フランシスコ。寡黙で、いかにも真面目なガリシア人です。非常にガリシア語なまりのスペイン語を話します。日中は、サラリーマンをしています。父親が持っていたブドウ畑を譲り受け、友人と家族だけで、車や機械が入れないほどの急斜面の畑を丁寧に手入れし、ワインを作っています。生産量もメンシアが5千本、ガルナチャが2千本、ゴデジョが3千本、樽熟成タイプのゴデジョはわずか千本と、ごく少量。各方面から注文が殺到しているそうですが、生産量も増やさず、価格も同じ。良い物を淡々と作る、真面目なワイナリーで、味わいにもそれが出ているような気がします。
D.O.ティエラ・デ・レオンのレジェンダ・デル・パラモ。優秀ワイン会には、樹齢100年を越すプリエト・ピクドから作ったエル・メディコが選ばれていましたが、エントリークラスのエル・アプデンディスシリーズも、南レオンだけの固有品種プリエト・ピクドの赤ワインとロゼワイン、こちらも固有品種のアルバディンの白ワインがコストパフォーマンスが非常に良いと評価されています。
ロゼは、フリーラン果汁だけを使った、イチコやラズベリーの甘めのアロマを持ちますが、味わいはシャープな辛口で厚みもあるワインです。赤は、酸がとてもしっかりしているバランスの良いワイン。白は、フローラルなアロマを持つ爽やかな辛口ワインです。
来年か再来年には、高地で乾燥しており、風通しが良いという、何も加えなくても病気になりにくい風土を生かして、酸化防止剤無添加のワインを作って見るそうです。それほど価格も上がらない予定だそうなので、こちらも楽しみです。
D.O.リアス・バイシャスのボデガス・ビニェドス ドン・オレガリオのアルバリーニョ種の白ワインです。色やアロマを果汁に浸透させるマセレーションという工程は5~6時間。発酵後、4ヶ月ステンレスタンクでシュールリーをしています。若々しいフルーティさは控えめですが、ボトル内熟成2年目に入ったところで、味わいに落ち着きが出ていました。アルバリーニョは肌色系が多いのですが、ここのワインはやや緑がかっていました。雨の多いガリシア地方ではとてもめずらしいオーガニックワインです。
リアス・バイシャスの畑は海から近いので、ワインも潮の香りがすると言われるのですが、確かにほのかに塩味を感じました。甘いお汁粉にほんの少し塩を入れると味がぐんと引き締まるのと同じような効果があるのかもしれません。
D.O.リベイラ・サクラのレヒナ・ビアルム。シル川から切り立った渓谷の上にあるワイナリーの景色は絶景です。ここでも、赤はメンシア種、白はゴデジョ種を使ったワインが作られます。畑の平均斜度は40度を超え、断崖絶壁のようなところです。ブドウは自身を守るために、地中深くに根を伸ばし、ミネラルを吸収します。表面には大きめの石がごろごろしているので、昼間の熱をたくわえ、夜、放熱するので霜害がないそうです。5年連続でCervinによる、国際山岳ワインコンクールでスペイン最優秀ワイナリーに選ばれています。
ゴデジョは、アデガ・ダ・ピンゲラのものに比べると甘みがあり、フルーティで飲みやすい感じです。余韻は長いです。メンシアは、ステンレスタンクだけで作るのでブドウの果実味豊か。タンニンとのバランスもとても良いです。