ボデガス・モセン
バリャドリッド県ルエダ村にあるワイナリー、ボデガス・モセンに行ってきました。1988年に数人のレストラン経営者が自分たちの店で提供するためのワインを作るべく、ボデガス・アンターニョという名前で始めたワイナリーです。その後、メンバーの一人だった、レストランチェーン「ホセ・ルイス」のオーナー、ホセ・ルイス・ソラグレン氏が買い取り、1992年、ボデガス・モセンという名前に変わりました。
ルエダは、マドリッドから車で2時間ほどのところにあります。ワイン醸造工程の見学はもちろん、15世紀の地下ワイン貯蔵庫、図書室、絵画ギャラリーと歴史やアートをたっぷり楽しめるワイナリーですので、是非見学にいらしてください。BUDO YAでもご案内できます。
ドゥエロ河から5キロほど離れたところに、300ヘクタールもの広大な自社畑があります。栽培品種はビウラ、ベルデホ、ソーヴィニヨン・ブラン、テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨン。畑は、標高700メートルのところに位置しています。粘土と砂質の土壌で表面は小石に覆われています。年間降水量は約480mmと少ないため、ブドウは水を求めて地中深くに根を張っており、風味豊かな味わいになります。昼夜の寒暖差は大きく、それ故、十分な糖度と酸のある、バランスの良いブドウが採れます。
ワイナリーのパティオ(中庭)。7世紀にアラブ人がベルデホ種を植えたのが、ルエダ地方のワイン作りの始まりだとされています。その後、コロンブスのアメリカ大陸発見に始まる大航海時代にはワインの輸出が盛んになり、ルエダ地方のワイン作りも急激に広がっていきます。このパティオには、古いワイン作りの道具があちこちに置いてあるので、そんなスペイン黄金時代に思いをはせることが出来ます。
ワイナリーに訪れた有名人の写真が所狭しと飾ってあります。カルロス国王をはじめ、フリオ・イグレシアス、アスナール元首相、ノーベル文学賞受賞者のカミーロ・ホセ・セラなどなど、錚々たるメンバー。
試飲室。各パーティションには水道の蛇口があります。一度に50人くらいは試飲できそうな広いスペースです。
一時発酵用のステンレスタンク。
赤ワインの熟成には、アメリカンオークとフレンチオークの通常樽と、フレンチオークの大樽を使用します。
15世紀から16世紀にかけて掘られた、地下25メートル、3キロにわたる地下ワイン貯蔵室。15世紀には農家それぞれが自分の地下室を堀っていたものが少しずつつながって、現在の迷路のような長いトンネルになっています。
ノーベル文学賞受賞者のカミーロ・ホセ・セラのサイン。死去の半年ほど前のようです。
300年前に作られた栗の木の大樽です。
コルク抜きやガラス食器、陶器のコレクションがあちらこちらにあります。
地上に戻り、案内されたのは公立の図書館にもひけをとらない蔵書数の図書室。飾っておくだけでなく、一般にも貸し出しをしています。この図書館のオープニングセレモニーで、カミーロ・ホセ・サラが、テープカットしました。
そして、2階建ての広々としたギャラリー。日本にも縁の深い彫刻家、サンティアゴ・デ・サンティアゴの作品もありました。
グループ創立者のホセ・ルイス氏は、ビルバオ県で靴磨きの仕事から始めました。50年ほど前、マドリッド在住の友人が宝くじに大当たりして、持っていたレストランをホセ・ルイス氏に譲ってくれたことをきっかけに、現在ではマドリッドに8軒、バルセロナやセビージャにも幅広く店舗を持つ人気店になっています。
暖かい心配りを感じる、スペインと日本の旗。 ベルデホの白ワイン、テンプラニーリョの赤ワイン、バッグ・イン・ボックス、スパークリングワイン、オルホなど10シリーズのワインがあります。日本にも一部輸入されています。