7月の初めに試飲して、とても気に入っていたワイナリー「Hiriart」に行ってきました。ワイナリーは住所どおりのところは大抵ありません。ここも、「このへんで誰かに聞いてみよう」と小道を入ったところにありました。ラベルと同じ人が看板もデザインしたのですね。初めてなのにとてもなつかしい感じがしました。
一時発酵用のステンレスタンク。新しくてピカピカしています。ここに10台、別の部屋に4台あります。テンプラニージョ、ガルナチャ、ベルデホの3種類、赤ワイン用、ロゼワイン用とわけられています。
葡萄の皮と種から色と渋みが果汁に出てくる現象をマセラシオンと呼びますが、この工程は8℃で約16時間行われます。30分ごとに醸造家がチェックするそうです。
木製の一時発酵用樽も使ってみたそうですが、非常に高価な割にはあまり良いものができなかったそうで、保留中だそうです。隣は赤ワイン用の圧縮機。ロゼワインは葡萄の重みでとれる自然の果汁だけを使っているそうです。
純粋な果汁だけを濾すためのフィルター。30センチくらいと、割と小さいですね。シガレスの葡萄畑は、伝統的にテンプラニージョ、ガルナチャ、アラゴン、ベルデホなど様々な種類の葡萄が同じ畑に混ざって栽培されていたそうで、収穫したときにはバランスよく混ざっているのよ、と笑っていましたが、ここ20年くらいの新しい畑はさすがに別々に栽培し、それぞれの配合もきっちり計ってワインを作っているそうです。
ボトル詰め作業中。醸造責任者は、準備があるから写真はまたにしてちょうだい、と撮影許可は下りませんでした。(笑)
ボトル詰め直前のワインを入れておくタンク。ワイナリー内にボトル詰めして保存する量は、最大15000リットルと決めているそうです。フレッシュなものを飲んでもらうためだそうです。
箱のデザインも好きです。
熟成樽にまでワイナリーの名前が入っていますね。フレンチオークが80%。あとはアメリカンオークと中央ヨーロッパの樽が使われています。4、5年おきに交換するそうです。フレンチオークは木目が細かく、香りも繊細。アメリカンオークは木目が荒く、野性味のある香り。と、それぞれの特徴を使い分けます。
1970年に一旦閉鎖されましたが、18世紀から延々と続く歴史のあるワイナリーです。2007年に今の形で再開されました。醸造家のイネスさんが結婚したときに、お母さんが改良していないテンプラニージョの原木をプレゼントしてくれたそうで、それを元にワイナリーを再開したそうです。
伝統的な葡萄絞り器。
木製のてこを使います。
ワインをつくっていた部屋。何か匂うな・・・と思ったら、
友人のチーズ屋さんに頼まれて、チーズの熟成をしているのだそうです。説明してくれたのは若いオランダの青年だったのですが、オランダのチーズも美味しくて有名だけど、このチーズは比べものにならないほど美味い!!と力説してくれました。山羊、山羊と牛のチーズだそうです。
小さい部屋があちこちにあります。すべて手作業で掘り進められたのだそうです。
葡萄の皮など、いらないものを取り出すところ。
テラコッタの昔ながらのワイン瓶。2メートル以上あります。
これはコンクリート製の醸造タンク。階段を上ってみると、
うーむ、なかなか情緒がありますね。少し修理して、ここでワインを作ってみる予定なのだそうです。温度計のついたステンレスタンクのようにはいかないだろうけど、やってみたいのだそうです。いいですね!
ラボラトリー。日々、データでワインを管理しているそうです。
試飲サロン。ロゼワインは、どんな料理の邪魔もしない、食事とあわせるには最高のパートナーだと自信を持って話してくれました。ワインには難しいトマト味のリゾットにもばっちり!だそうです。
ワイナリーの入り口。それぞれのラベルが素敵です。ブリュッセルの世界コンクールで2011年、2012年と銀賞に輝いたときのメダル。他の数々の賞はこちらです。http://www.bodegahiriart.es/noticias/images/graficos/premios_2012_05_20.pdf
ラベルをデザインしたシエラさんとは仲の良い友人だそうです。Hiriartが他のワイナリーと違うところは?と質問したら、60年から90年の古い葡萄の樹からとれる実をすべて手作業で摘み、機械的な圧縮をせず、美味しいところだけを使っているところ、ベルデホ種を混ぜているのはスペインでもこの地方だけの特徴、最初の一口目から余韻にいたるまであきさせない美味しさには理由があるのよ、と話してくれました。
このへんは個人所有のもの、18世紀に掘られたまま現在は使われていないもの、など、たくさんワイナリーがあります。
小さい村ですが、立派な教会が見えます。
大きいですね。
この人がお金を出して、この教会を完成させたのだそうです。名前を失念しました。後で調べて追記します。頭蓋骨をかかえているのは、この人が貧しい人や病気の人を熱心に世話をしたからだそうです。
今は動かないオルガン。いつか修理できるといいですね。
外で写真を撮っていたら、おばあさんが中に招き入れてくれて、ミサの最中じゃなければ写真を撮っても大丈夫よ、たぶん。と言ってくれたのでパチリ。いつ見ても、豪華さと高さと長い間の人々の熱心な祈りを感じて圧倒されます。
-ワイナリー訪問, D.O.シガレス, 旅行と村祭り