el alma de los vinos únicos 試飲会
2013/08/06
6月3日(月)ブルゴスで開催された、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、ポルトガルなど国際的なファインワイン試飲会でした。102社のうち、46社が国外のワイナリー。全部で500種類以上のファインワインが一度に試飲できる滅多にないチャンスだったので、醸造家、ワイン専門店、レストラン、ソムリエなどなどワイン関係者がスペイン各地から集まっていました。その多くの人が、開会時間から閉会時間まで昼食すらとらずに試飲を続け、それでも時間が足りない、せめて2日間やってほしいと嘆いていました。
ワイン関係者が目立った試飲会ですが、一般の方も前売り20ユーロで入場できます。もちろん中では、どの銘柄でも追加料金などは一切なく、いくらでも何種類でも(余裕があればお代わりすら)飲めます。年に何度かこの手の大きな試飲会がございますので、ご興味のある方はBUDO YAまでお問い合わせください。
ご本人がブースにいたので、一番最初に試飲に行きました。絶対途中でいなくなるな、と思ったら、やっぱり自分のブースにはその後滅多にいませんでした。
生産本数が少ないために、最終的にとても価格が高くなってしまったり、誰もが楽しめるワインではなくなってしまうことは彼の本意では全くないそうですが、いろんな品種を混ぜて植えてある昔ながらの畑から収穫し、温度コントロールもせず、できるだけ人手を加えない彼のやり方では大量生産は難しいのです。
まだ自分のプロジェクトを持っておらず、ラウルが実家のカストロ・ベントサで作った2003年と2001年のメンシアも試飲しました。透明なレンガ色に変化していましたが、味わいは艶々としており、軽やかでシャープ。ラウルが目指すワインは、少量生産というだけでなく、長い時が経つことも必要で、なんとも悠々とした話です。まぁ、そんなその後が楽しみなワインを数本、家で保存しておくのも人生のお供に良いかもなと思います。
隣のブースは、カストロ・ベントサでした。El Castro de Valtuille Joven 2012は、やや発泡し、甘さが目立つメンシアでした。El Castro de Valtuille 12ヶ月樽熟成 2010、Cepas Centenarias 2010になると、辛口で軽やかにまとまっていました。どれもわりとタンニンを強く感じるタイプです。
セゴビア県にある、V.T.Castilla y Leónのワイナリー、Ossianです。近々、オーナーが変わるという噂もありますが、樹齢140年から240年という超古木のベルデホ種から作られる白ワインです。爽やかですが、攻撃的な酸ではなく、程よい甘みが好感のもてるワインだと思いました。
D.O.RibeiroのLuis Anxo Rodríguez Vázquez。 品種は、Treixadura (80%)、 albariño (10%)、 lado、torrontésです。甘くて、輪郭がぼんやりしている印象があったリベイロですが、これはシャープ。爽やかで甘すぎず、奥行きもあるワインでした。
D.O.RibeiroのLuis Anxo Rodríguez Vázquez。品種は、Treixadura、 Lado、 Torrontés、Albariño。フレンチオークで12ヶ月間樽熟成、1年以上の瓶内熟成を経ています。樹齢25年から30年にも関わらず、丁寧に芽欠きをして収穫量をわずか1000Kg/haに押さえることで、豊かな酸を残します。生産本数も1200本ほど。こんなにエレガントなリベイロは初めて飲みました。錚々たるワイナリーが集まった今回の試飲会で、5本の指に入る、印象的な白でした。日本未入荷です。ご興味のある方は、BUDO YAまでご連絡ください。
D.O.RibeiroのLuis Anxo Rodríguez Vázquez。品種は、Brancellao、 Caíño、Ferrón。使用済みフレンチオークで80%から60%6ヶ月間樽熟成させたものと、樽熟成させていないものを混ぜて作ります。赤い果実の香りを持ち、フルーティ。重すぎず、飲みやすいワインでした。
もう1種類のESCOLMAも、品種はBrancellao、 Caíño、Ferrónですが、1年間フレンチオーク新樽で熟成させています。やや厚みのあるボディですが、フレッシュで飲みやすい印象は同じです。バランスの良いワインだと思いました。
D.O.Ribeira SacraのGuímaroです。20世紀初頭から続く伝統的なワイナリーでしたが、1991年に大々的なリフォームをし、今の形になりました。ラウル・ペレス氏がこのワイナリーで「エル・ペカド」というワインを作り、世界的な注目を集めるようになりました。この地域特有の最大傾斜60度にもなる急斜面にある畑から採れるメンシアのワインです。若飲みタイプは、キャラメルのような甘い香り。果物感たっぷり。Finca Capeliñosは少し辛口になりますが、メンシア種特有のフルーティさはたっぷり。Finca Pombeirasは前の2つに比べてやや厚みがありました。フルーティ。Finca Meixeminが一番優美にまとまっている印象でした。酸が良い感じでした。
D.O.Rias BaixasのBodegas Forjas del Salnes。ブース名は、醸造家の「ロドリゴ・メンデス」でした。このワイナリーでラウル・ペレス氏が「スケッチ」を作ったことは有名です。ロドリゴとラウルは長期熟成のできるアルバリーニョを目指し、大樽で発酵、熟成させるタイプがあります。やや厚みがありましたが、樽の感じは全く分かりませんでした。辛口。2005年ものの7年ステンレスタンクで熟成させ、1ヶ月前に瓶詰めしたばかりというものは、フレッシュさとりんごのような甘酸っぱさがありました。
D.O.MonterreiのBodegas Quinta da Muradella。醸造家は、ホセ・ルイス・マテオ氏です。マドリッドで社会学を修士課程まで学びましたが、大都会は彼の肌に合わず、地元に帰り、ミネラルウォーターの会社で働きます。そんな中、地元のブドウの可能性に気づき、マーケットを調査し、1992年にワインを初リリース。彼の理念は「基本に忠実であること」。昔ながらの畑で有機栽培し、テロワールを調査し、丁寧なワイン作りをしていた彼が、同じ理念を持ち、同じようにこの地のブドウのポテンシャルに注目したラウル・ペレス氏と出会い、2000年から協力してワインを作るようになります。彼らのワイン作りの経験と情熱はとても似ていました。そしてリリースされたのが、「A Trabe」。このワインによって、それまで誰も知らなかった小さなD.O.モンテレイは、世界中の注目を集めるようになりました。
ガリシアの畑は山腹にあるため、昔からとても小さな区画に分かれています。そのため、フィロキセラの大災害からも逃れ、100年を優に超す古木が今でも残っています。また畑の位置や方向から土壌、日照条件、気温などもそれぞれ違うため、同じ品種でもブドウの味わいも違ってきます。それを上手く組み合わせ、素晴らしいワイン作りに成功しているワイナリーの一つが、このキンタ・ダ・ムラデジャだと言われています。
試飲したのは、赤ワインが Alanda :カシスの香りで軽やか。上質なレース編みみたいな綿密さを感じる軽やかさ。Berrande : 粘板岩のテロワールで採れるブドウからできるこのワインは、爽やかな果物の香り。濃い色とは裏腹にエッジの効いたバランスの良い軽さ。Gorvia : タンニンを一番強く感じたタイプ。ボトル詰めされたばかりでまだ成分の特徴がそれぞれ主張しているからかも。 Sousón : イチゴみたいな香り。甘さがほんのりバランスの良い、とても上品なソウソン。 後口も印象的。Bastardo イチゴやサクランボみたいな香り。キャラメルのような甘い香りもあり、味わいにも甘さの縁取りがある。素晴らしいバランス。
白ワインが、Alanda : グラスに入れてもらったばかりでそれほど高い香りはせず、味わいも閉じていて、もう少し時間をかけて飲みたい感じ。やや厚みを感じる、優しい酸。甘みもあり、飲みやすい。Sabrego : オーガニック認定ワイン。柔らかな甘みがあり、バランスが良い。Muradella Crianza : 粘土質の土壌で採れるブドウ。微発泡しており、果物の感じ。Oxidativa 2009 : 果物の味をできるだけ消そうとしたワイン。上品な酸。よくある白ワインに終わらないように、テロワールの特徴を出して行きたいワインだそうです。
ブルゴーニュ北部、コート・ドール地区のDomaine René Bouvier。所有するすべての畑はオーガニック認定。2011年から一部畑においてビオディナミを開始。2005年オスピスで「5名の有望な若手生産者」に選出されたのだそうです。
ブルゴーニュでは基本的に単一種でワインが作られます。Marsannay Le Clos はシャルドネ100%。こんな風に柔らかで甘さも爽やか。香りもハーブとナッツ系の甘い感じが絡み合って、味わいを引き立てていました。 Marsannay ピノ・ノワールは、やや発泡しており、軽く、強い酸味を感じました。Clos du Roy は逆に少し甘め。酸もしっかりしていました。La Justice はフルーティな酸が上品で、甘みもありました。
Racines du Tempsは赤い果実の香りで、シルキーな滑らかなワインでした。Charmes-Chambertin Grand Cru は柔らかながらも奥行きがありました。果実味とタンニンがよく溶け込んでいて、時間とともにチョコレートの香りも出てきて、楽しめました。
ポルトガル、スペイン国境ミーニョ川沿いのVinho Regional MinhoのQunta do Feital。ガリシア人醸造家マルシアル・ドラドがアルバリーニョで作るビーニョ・ベルデです。軽くてお手軽な若飲みタイプのイメージがあるビーニョ・ベルデを厚みのある、複雑な味わいのワインに作り上げています。
Auratos 2012はアルバリーニョの高い香りとキャメルのような甘い香りを併せ持ちます。微発泡。しっかりしたボディで、シェリーに似たニュアンスがあります。Dorado 2009は1年半ステンレスタンクで発酵。これもシェリー系みたいだなと感じました。やや甘みがあります。Quinta do Feital 2005は、卵焼きやプリンのようなふわっとしたアロマがあり、まるでワインの香りではないようでした。1年半樽熟成。
フランス、Saint-Joseph地区のDomaine Pierre Coursodon。クルソドンは、サン・ジョセフで最も長い歴史を持つ生産者のひとつで、エルミタージュの対岸にあたる急斜面にブドウ畑を所有しています。現在3代目の醸造家ジェローム・クルソドンがモダンスタイルのワインを造っています。
ハンガリー、TokajのPendits。貴腐ワインです。辛口と言われて試飲したTokaj Pendits Dialog Furmint-Yellow Muscat。華やかなマスカットの香りと、爽やかな甘さ。滅多に飲まないデザートワインですが、こういうのも良いなと思いました。一通りの試飲を終えて、甘口のTokaj Pedits Aszú 6 Puttonyosを飲みに戻り、ふわっと軽々とした優美な甘さに益々そう思いました。
フランス、ロワール地区のDomaine Pascal Cotat。ここの畑も非常に急斜面にあるため、全て人手で作業し、ソーヴィニヨン・ブランの有機栽培を実践しています。
Les Monts Damnes 2012は、きりっとした辛口ですが、アルバリーニョほどきつくなく、繊細でやわらかな感じがありました。レモンやライムのような柑橘系のアロマを持ちます。La grande Cote 2012は、砂糖漬けの果物やメロンなどを想像させる、嫌みのない甘さがありました。
フランス、ブルゴーニュ地区のDomaine Oliver-Gard。シャルドネともう一本白を試飲しましたが、どちらも甘みが少ない辛口で酸がきつめでした。余韻はとても長く続きました。
オーストリア、Wachau地区のNikolaihof。10種類の白ワインを一気に試飲する機会は、ほとんどないので、とても良い経験になりました。スペインワインって実はとても美味しいのよ!とずっと思ってきたのですが、いえいえ他の国のワインにも人気がある理由がきちんとあって、(わたしがよく飲む程度の)スペインワインにはない、繊細さや複雑さ、優美さ、素晴らしさがあるのだなぁと、当たり前のことにがつんと気がつかされました。
少し甘めの白ワインがお好きな方にはお勧めしたいワイナリーです。2011に比べて2010はやや甘みが深くなり、2009になるとシャープになってきました。1998年でも、生き生きとした素晴らしい酸が存在を主張しています。軽く甘みもあってバランスが良いです。驚きの1995年。酸味と甘みが絶妙なバランスで、まだまだいけそうでした。甘みは1998年に比べるとやや強めですが、古くささは全く感じません。シルキーというか、つるっとした滑らかな白ワイン。最後に2005年のデザートワインを試飲しました。厚みのあるフルーティな甘いワインで、とても透明感がありました。
D.O.Ribeira SacraのAdega Algueira。シル川沿いに12ヘクタールの非常に急斜面な自社畑を持っています。12世紀に修道士たちによってワイン作りが始められた歴史のある場所です。とても過酷な場所にあるため廃畑になってしまったところを復旧し、土着品種を守る長期プロジェクトが進んでいます。
Brandan は、ゴデジョ100%。この品種特有の爽やかなりんごの香りが大好きです。甘みは軽めで、強めの酸味を感じました。 Algueira Cortezadaは、ゴデジョ、アルバリーニョ、トレイシャドゥラの3種類を混ぜて作っています。Brandanよりやや甘みが強めでした。 Algueira Escaladaは、ゴデジョ100%。フレンチオーク内でシュールリーしてあります。やや辛口で、軽い飲み口で樽はほとんど感じません。
ペネデスのCan Ráfols dels Caus。1979年創立のワイナリーで、Grandes Pagos de España を立ち上げたりと話題作りが上手なワイナリーです。Gran Caus Blanco 2010だけを試飲しました。50%チャレッロ、22%シャルドネ、28%シュナン・ブランです。爽やかで飲みやすく、フルーティさが押しつけがましくありません。ワイナリーの説明によると、チャレッロがアロマを、シャルドネがボディを、シュナン・ブランが素晴らしい酸を担当しているそうです。
フランス、ローヌ地方クローズ・エルミタージュのDomaine Alain Graillot y Domaine Des Lises。後継者がいなかった有機栽培のドメーヌを買い取り、1985年が初ヴィンテージ。ブドウの力を信じ、できるだけ人手を介入しないワイン作りを心がけているそうです。
試飲したのは、2011年の白。甘いかと思いきや苦みもあり、甘みも焦げたような感じでした。
フランス、シャンパーニュのAndré Clouet。良質なピノ・ノワールの産地だそうです。年間生産本数3000本のシルバー・ブリュットはスウェーデン王室御用達で、漫画「神の雫」でも取り上げられたと聞いたので、少々ミーハーな気分で飲んでみました。泡がキメ細かいとか、余韻が長いとか、スペインの発泡ワインとはひと味違うんだろうな!と余計な期待をしたせいか、残念ながらあまりピンとくるところがなく、捕糖してないタイプの割りには甘みがあって、梅酒を思わせる味わいでした。
ブルゴーニュ、コート・ドール地区のDomain Bonneau du MartrayとDomain Chavy-Chouet。どちらも優秀なワイナリーとして有名で、特にDomain Bonneau du Martrayは日本ではとても高価なようです。どちらも、軽いワインだなぁと少し驚きました。ルエダのくっきりしたベルデホ、リベラやトロのフルボディのテンプラニージョを飲み慣れているわたしには、この手のワインを理解するにはもう少し修行が必要なようです。
スペイン、マドリッドのBernabeleva。1923年に創立されたワイナリーです。マドリッド周辺では、古いガルナチャが多く残っていますが、このワイナリーの畑もほとんど追肥することなく、できるだけ自然に忠実に手入れされた古いものです。標高は600メートルから830メートル。
白ワインは、アルビージョ 100%のものは、爽やかな甘さがありました。アルビージョはスペインの固有品種で、房は中程度の大きさ、丸い黄金色の実をつけます。この品種が持つグリセロールがワインを柔らかくするので、他の品種と混ぜて使うことが多いのですが、D.O.Vinos de Madridと、D.O.Ribeiroでは主要品種として用いられます。
赤ワインで試飲したのは、Carril del Rey 2010。軽やかながらもタンニンがしっかりした、クラシックな味わいでした。Arroyo del Tórtos 2010も軽やかでタンニンがしっかりしたと同じ傾向のワインですが、こちらの方がやや甘みとフルーツを強く感じました。
スペイン、 リオハのBodega Contador。醸造家のBenjamín Romeoは、1995年に数百年前の地下醸造室を購入し、1996年に「La Cueva del Contador」を初リリース。彼自身のプロジェクトを開始しますが、2000年までリオハのワイナリー、Artadiでも働いていました。フランスで学んだ高い栽培技術と醸造技術を持っていた彼は、2004年、2005年と連続してロバート・パーカー100点満点という偉業を成し遂げます。そしてまた彼の挑戦は、2007年からカタルーニャでも広がっています。 数年に一度しか、あえて肥料を追加しないという彼のブドウ畑はバイオダイナミック農法に基づいて栽培されています。
Contador Blancoは、ガルナチャ・ブランカを主体に、ビウラ、マルバシアで作り、フレンチオーク樽で発酵させています。軽いフルーツの香りと味わい。ふわっと立ち上がる(良い意味での)シャンプーのような印象を持ちました。キャラメルのような後口が独特でした。
Macizoは、チャレッロ、ガルナチャ・ブランカ、マルバシア、シャルドネからできる白ワインです。8ヶ月フレンチオークで樽熟成しており、バルサミコを感じ、やや厚みがありました。
La cueva del Contador 2010は、かなり濃いのですが、フルーツの感じも残っている、酸の感じが良いフルボディでした。トップキュベの「Contador」は、テーブルに出ていませんでした。(笑)
スペイン、シエラ・デ・サラマンカのCámbrico。シエラ・デ・フランシアという美しい山脈に囲まれる自然保護地域の標高700メートルから900メートルにブドウ畑はあります。「ルフェテ」という、世界でもこの地域だけで栽培される土着品種で作られるワインは、スパイスやハーブなどを感じさせる軽やかなワインです。
Cámbrico Rufete 2006。斜面にテラス式に植えられたブドウで作るワイン。ほぼ絶滅品種だったルフェテで作られます。飲む前45分前には抜栓してほしいとワイナリーは言っています。他のワインでも経験したのですが、この地域のワインは抜栓後にタイムやミントなどの意外なアロマに一瞬驚き、それからの広がりがとても楽しいです。
バイオダイナミック農法で、注目のスペインの醸造家、David Sampedroが作るワインです。全てのワインをバイオダイナミック農法にこだわって作っているというわけではなく、高品質のワインを目指すと、自然のサイクルに則った手作業が最適だと思うそうです。Rioja、Sierra de Salamanca、Utiel Requenaなどスペイン各地でワインを作っています。
若飲みタイプの、La Malkerida 2010はボバル100%。2008年にスペインの最優秀ソムリエに選ばれ、ロンドンのリッツホテルでソムリエをしていたBruno Murcianoが、David Sampedroが作るワインに惚れ込み、この品種の可能性をDavidに説得して二人で作ったワインです。樽熟成はせず、セメントタンクで一時発酵、ブルゴーニュ式の500リットルの解放タンクで二次発酵させています。キャラメルやお菓子のような甘い香りと、ハーブなどの印象的な香りを持ちます。フルーツの酸がとてもしっかりしていて、厚みのある味わいです。
David SampedroとBruno murcianoが作るワインです。
Pinca la Encanto 2010は、Sierra de Salamancaで作るルフェテの赤ワインです。冬にマロラクティック発酵をさせ、14ヶ月フレンチオークで樽熟成させています。花のような、赤い果実のような、優美な香りを持ちます。軽やかですが、飲んだ後に広がる軽いスパイスのニュアンスを持つ味わいはとても長く続きました。
Riojaのテンプラニーリョで作るVuelta de Terca。湿気の多い土地なので、100%バイオダイナミック農法だとカビや病気との戦いに苦労するけれども、その分多様な生物が畑にいるので、ブドウも複雑性のある味わいになるそうです。確かに深い味わいがあり、エレガントな酸もしっかりと感じる、良質なワインでした。
スペイン、トレド(Vino de la Tierra de Castilla)のBodegas Lobecasope。このイベントのもう一人の主催者である、マドリッドのディストリビュータであり、 実店舗のビノテカでもある、La Tintorería のオーナーの一人フレッキーが経営するワイナリーです。樹齢約25年から55年のガルナチャ、約6.5ヘクタールの古い畑をバイオダイナミック農法で再生させました。
このNavalenguaは、300リットルのフレンチオーク樽で7ヶ月熟成。最大限に自然を表現するため、無濾過です。新樽を嫌い、使用樽を購入しています。軽々としたガルナチャは、この地域の特徴的な味わいですが、甘みとフルーツの酸味がちょうど良く、好感の持てるワインでした。
同じBodegas LobecasopeのZiries。2年めの500リットルのフレンチオーク樽で12ヶ月から18ヶ月熟成。濃いラベルデザインとは裏腹に、香りはそれほど高くなく、飲み口もごく軽め。フランス東部ローヌのワインと似たサクランボのジュース、松やハーブのニュアンスがあるワインだと説明がありました。爽やかな赤ワイン、という印象でした。
同じBodegas LobecasopeのZiries Melé Paraje Granítico。このワイナリーの中で一番古い樹齢56年以上のブドウを使い、全房でアルコール発酵、500リットルのフレンチオーク樽で10ヶ月熟成させています。2011が初リリース。タンニンがきつすぎない、爽やかな感じは他の物と同じですが、キャラメルを感じさせる甘さ、フルーツが豊かで複雑性があり、個人的には一番好みでした。
スペイン、トレド県のD.O.メントリダにある、Daniel El Travieso。1950年代に48カ国19言語に訳されたアメリカの一コママンガ「わんぱくデニス」と同じ名前を持つワイナリー。15世紀から17世紀にかけてのスペイン黄金時代には持てはやされていたガルナチャ(グルナシュ)という品種は、宝石のガーネットのような輝く朱色のワインを作ることから、その名前を持つと言われています。様々な気候や土壌に耐性のある品種で、植えっぱなしでもある程度の収穫はでき、アルコール度数の高いワインが作りやすいため、いつの間にか、安ワインの品種というイメージが出来上がりました。
それを一変したのが、テルモ・ロドリゲス、ヒメネス・ランディ、そしてダニエル・ラモスたちです。マドリッドの南部にあるグレドス山脈一体で採れるガルナチャを「Garnachas de Gredos(グレドスのガルナチャ)」と呼び、良質なガルナチャのワインを有名にしました。特にDaniel El Traviesoでは、標高の高い、あえて北向きの日照時間が少ない畑を選び、過度な糖分を避け、高い酸を残したガルナチャの栽培に成功します。
La uvas de Ira 2012(怒りの葡萄)、ジョン・スタインベックの小説のタイトルを持つ、このワインはコーヒーやトーストなどの香りがあり、ダニエルによると、チーズっぽさが樽熟成でまとまってエレガントさに変わるのだそうです。El Reventón 2011は、やや甘めでフルーティ。この地域のガルナチャにしてはボディが強く、タンニンもしっかりしていると感じました。 Cantos del Diablo 2011 決して重いわけではないのですが、こちらもしっかりしたボディです。一番、フルーティな酸を感じました。
ちなみに、新しいデザインのラベルが間に合わなかったそうです。2007年もののシラーも試飲させてもらいましたが、6年たってようやくまとまってきたと話していました。市場には出ていないそうです。シラー独特のやや青い味わいが生き生きとしていました。
彼が、もう一人の立役者、ヒメネス・ランディです。 D.O.メントリダ、ガルナチャ・デ・グレドスを世界レベルにした人です。前述のダニエルは、ヒメネス・ランディ、そして何度も名前が出てくるラウル・ペレス。彼らの名前がついたブースでワインがサービスされていたので、日本に輸入されているワイン名とワイナリー名が一致していないところがあるかもしれません。ご了承ください。
Bajondillo 2011。 ガルナチャ65%、シラー、テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨン。軽いけれども骨格がしっかりしているタイプ。ややスパイシーで、ミネラル感もありました。この価格で、この複雑性は素晴らしいと思った一本です。
Atalfos 2011。ガルナチャ100%。西向きの畑の樹齢60年のブドウから採れます。全房での発酵、酵母ごとナチュラルなマロラクティック発酵という、あくまでもブドウの力を信じた醸造方法を採ります。とても薄い色をしています。土壌の特質ゆえのチョークみたいな舌ざわりがあります。ミネラル感もあります。日差しがとても強いため、小さな粒では干しブドウのように過度に糖度が高くなってしまうため、大きな粒のブドウを選んでワインにするそうです。
The end 2010。 以前は、Fin del mundo(世界の終わり)という名前がついていましたが、アメリカ市場で登録商標の問題で名前が変更になった一本。北向きの畑で採れたブドウのせいか、とてもデリケートで、冷涼感がありました。単純ではなく、思いがけない方向に広がりを持ったワインです。
もう一人、最近のスペインワインを牽引している醸造家といえば、テルモ・ロドリゲス氏。リオハの有名ワイナリー、レメユリを実家に持ち、ボルドー大学で醸造を学び、1994年に彼自身のプロジェクトによるワインを初リリースしました。優秀なスタッフをかかえ、現在ではスペイン各地にプロジェクトを持っています。どこも、土着品種を生かした個性的でエレガントな作りで、世界的な人気を博しています。
どこの地域でも、株仕立てにこだわっているそうです。
リオハのLZ(テンプラニーリョ、ガルナチャ、グラシアノ)は、甘いイチゴの香りが印象的でした。同じリオハのLanzaga(テンプラニーリョ、グラシアノ、ガルナチャ)は、昔から残っている畑で品種がいろいろと混ざって植えられているところのブドウです。ビエルソや、ガリシアでもひとつの畑に品種が混在して栽培されていることがよくあります。
バルデオラスのGaba do Xilは、メンシア独特のフルーティさがあり、シャープにまとまっている印象でした。アビラ県のPegasoは、ガルナチャ100%。甘い香りがあります。酸とタンニンがしっかりしているので数年後が楽しみな感じでした。マラガのMountainはモスカテルのデザートワイン。爽やかに甘く、疲れがとれます。(笑)
他にも、Pago La Jara(トロ)、Moulino RealやMR(マラガ)、El Transistor(ルエダ)、AS(バルデオラス)なども、とても高い評価を得ていますので、見かけたら是非試してみてください。
スペイン、サラマンカ県のD.O.アリベスのTerrazgo。ポルトガルとの国境にある自然保護地区内にある産地で、ルフェテやフアン・ガルシアという、タイムやミントのアロマを持つフルボディの赤ワインを作る、とてもユニークな土着品種を栽培しています。同じアリベスの他の銘柄でも経験したのですが、爽やかな香りからバニラ、コーヒー、トーストなどに変化していく様子がとても楽しいです。味わいはミルキィなフルボディです。
スペイン、リベラ・デル・ドゥエロのティント・ペスケラ。 オーナーで、醸造家のアレハンドロ・フェルナンデスは、1970年代からこの地でテンプラニーリョの赤ワインを作りつづけ、スペインワインを世界に注目させた立役者の一人です。どこへ行くにも鞄にペスケラのボトルを入れ、いつも営業をしていたそうです。
現在は、Tinto Pesqueraの他にCondado de Haza、El Vinculo、Dehesa La Granjaというワイナリーで、グループ・ペスケラが構成されています。
どちらかというと、軽くて酸のしっかりしたワインが多かった今回の試飲会の中で、ペスケラはしっかりとしたミルキィなフルボディ。アメリカンオーク100%で樽熟成するテンプラニーリョは、樽がしっかり効いていて、安定感がありました。フルボディの赤ワインが嫌い、という方以外には、どなたにも受け入れやすい味わいではないかという気がします。
スペイン、ビエルソのベロニカ・オルテガ。古い樹齢のメンシアで、一年にたった600本にワインを生産しています。フランスの有名ワイナリーで働いていた彼女は、50%全房のブドウを解放タンクで発酵させます。軽やかでフルーティ。とても飲みやすいのですが、それだけには終わらない、余韻の長いワインでした。
フランス、ローヌ地方のRené Rostaing。ラ・ランドンヌの2009年ものと2000年ものを試飲しました。シラー100%。シラーというと、濃厚でスパイシーな印象がありましたが、これは全くとがったところがなく、なめらか。果物の感じもしっかりあって、エレガントでした。2000年ものは、果物とミルクとチョコレートの香り。重すぎないのですが、深みがとてもあり、ワイン最高の褒め言葉である、「シルクのような味わい」というのはこれかと思いました。ため息がでるほど、美味しかったです。あまりに美味しくて最後まで飲んでしまったので、ますます印象深かったのだと思います。
南フランス、ルーションのDomaine Du Clos Des Fees。21才のときにフランス国内で最優秀ソムリエに輝いたことのあるエルヴェ・ビズールと、シャトー・ヴァランドローのオーナー、ジャン・リュック・テュヌヴァンが作るワイナリーです。 真ん中のVieilles Vignesを試飲しましたが、ガルナチャ主体のフルボディ。甘さもある、タンニンのしっかりしたワインでした。トロ地方のよく出来たワインに近い感じがしました。
フランス、サヴニエールやコトー・ド・レイヨン、カール・ド・ショーム、ロワールなどで、シュナン・ブラン種の白ワインを作っている老舗ワイナリーです。昭和天皇が、コトー・ド・レイヨンのワインを気に入っていたという逸話も残されています。シュナン・ブラン種は、ロワール川流域原産の品種で、南アフリカを始め、スペインでも栽培されています。高い酸味が特徴で、それを生かしたフレッシュな辛口ワインや、貴腐化するので甘口ワイン、スパークリングワインなどバラエティ豊かなワインが作られています。ちなみにV.T.レオンのアルバリンは、シュナン・ブランと同種だろうと言われています。
遅摘みして作る甘口ワインには、ハチミツやトロピカルフルーツのような高いアロマがあるそうですが、辛口のシュナン・ブランはどちらかというと柔らかい香りだと思います。味わいはふくよかで、フルーツよりもミネラル感がありました。
フランス、コートドールのDomaine Albert Morot。1820年から続く、古いワイナリーです。収穫量を抑え、長期熟成を念頭においた作りのため、特に古酒に評価が高いそうですが、今回試飲したのは2009年もの。しっかりしたタンニン、果実感もあり、たっぷりふっくらした感じでした。これが、10年、15年と経つうちにシャープなエレガンスに変化していくのかもしれませんね。
フランス、アルザスのDomaine Audrey et Christian Binner。1770年から続く古いワイナリーで、長年オーガニック栽培にこだわる自然派の作り手。どれも甘めの上品な白ワインでした。
スペイン、D.O.ビエルソとD.O.リベイロでワインを作るViñedos Do Gabián。樹齢70年のメンシアで作る、O Viño Do Pipiñoは50%全房のブドウを解放樽で発酵させます。フレンチオークの新樽ではないもので、10ヶ月熟成。生産本数はたったの570ボトル。凝縮感のあるボディで、酸もしっかりしていました。長期熟成に向くワインだと思います。リベイロの方は、ハーブのアロマを持つ、爽やかな甘さを持つワインでした。
フランス、シャトーヌフ・ドュ・パプ、ローヌ、コート・デュ・ローヌなどに畑を持つ、Chateu Gignanです。アヴィニョン郡に、ローマ教皇としてヨハネ22世が住みだしたのは14世紀。ローマ教皇の富みを増やすため、アヴォニョンの銀行家とワイン醸造業者を協力させ、ブドウ畑の優れた基盤を作ったと言われています。そのため、長い歴史もあり、優れたワインを産出する地域として有名です。
フランス、シャブリのDomaine Corinne Et Jean Pierre Grossot。シャルドネ100%の、くっきりとした輪郭をもつ爽やかな、ミネラル感もある、辛口白ワインでした。2010年に比べて、2009年はやや甘さが目立ち、2008年は厚めのボディを感じました。1920年に現オーナーのジャン・ピエール・グロッソ氏の祖父がワイナリーを創立し、1980年現オーナーが品質向上を目指し、生産者元詰めスタイルに変えました。
フランス、ムルソーのDomaine Matrot。ピノノワールの赤と、シャルドネの白ワインを作ります。フランス三大白ワインに数えられるムルソー地区の中でも、とても評価の高いワイナリーです。赤、白ともに強すぎる樽香を嫌うため、新樽は10%程度です。赤ワインを試飲しましたが、スペインのロゼワインくらいの非常に透き通った赤で、飲み口も軽やか。ベリー系の香りがありました。繊細な味わいですが、ゆっくりと広がっていく余韻はやわらかで、心地よいものでした。薄いワイン、というのではなく、しっかりしたストラクチャーを感じました。
今回の試飲会は、マドリッドから車で3時間ほど北のブルゴスという地方都市で開催されたにもかかわらず、大盛況でした。スペインワインのラインナップもすごかったのですが、これだけたくさんのフランスやドイツなどの有名ワインをスペインで一気に試飲できる機会は滅多にありません。久しぶりに地元のマウロや、アアルト、セサル・プリンシペなども飲んでみるつもりだったのに、時間と体力切れ。
夕方になるにつれ、ブースにワイナリーの人がいなくなって(たぶん違うブースで飲んでいる・・・)、お客さんが勝手にワインを注いでいたり、ワイナリーの人がいても酔っ払っていたりで詳しい話が聞けなくなってきたので、来年は朝から早めのペースで廻ろうと思います。